開催国パキスタンのシェバズ・シャリフ首相が10月16日、イスラマバードのジンナー会議センターで開催されたSCOの開会式で演説した。（出典：PID）

暴力や政情不安に直面しているにもかかわらず、SCOのホスト国であり輪番議長国でもあるイスラマバードは、イベントの安全確保に全力を尽くしてきた。

混乱の中での開幕

SCO首脳会議を前に、開催国パキスタンは抗議活動、分離主義、反体制派グループによる安全保障上の課題に直面している。特に、イムラン・カーン元首相率いる野党パキスタン・テフリク・エ・インサフ（PTI）党は、政府が憲法改正を推進する一方で、「司法の独立」を要求する一連の抗議活動を開始した。 PTIはまた、SCO首脳会議が開催されるイスラマバードの中心部でシャバズ・シャリフ首相の政府を「辱める」ために大規模な抗議活動を組織するとも脅迫した。

首都だけでなく、イランと国境を接するバロチスタン州の分離主義グループは、中国・パキスタン経済回廊（CPEC）や一帯一路構想（BRI）のプロジェクトに従事する中国国民を定期的に攻撃している。

最近、港湾都市カラチで分離主義グループが中国人技術者の車列を襲撃し、2人が死亡したことで、首脳会談を前に治安状況がさらに悪化した。観測者たちは、分離主義グループにとって今は治安を不安定にし、国際的な注目を集める絶好の機会だと指摘している。

「初めて」

パキスタンの複雑な治安状況にもかかわらず、中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、ベラルーシ、イラン、インドを含む10の加盟国の代表が、16の準加盟国、オブザーバー国、または「対話パートナー」国の代表とともに出席した。ハイライトはインドのスブラマニアン・ジャイシャンカール外相の出席だった。

これはインド高官によるパキスタン訪問としてはほぼ9年ぶりとなる。李強首相の出席は特に意義深いもので、パキスタンの「全天候型」パートナーである中国の政府首脳の訪問としては11年ぶりとなる。

訪問中、双方は安全保障関連の問題やCPEC実施の進捗状況を確認し、バロチスタン州グワダルに中国が出資した国際空港を開港した。グワダルには、イスラマバードが北京に99年間リースしている戦略的な深水港がある。 CPECは現在、中国のBRIの南アジアにおける最も重要な部分であり、CPECに対して500億ドルを超える投資と融資を行っている。

このSCO首脳会議には、モハンマド・レザ・アレフ第一副大統領率いるイラン代表団も初めて出席した。これはイスラマバードにとって、特に最近のイランとイスラエル間の緊張など、この地域で新たに発生している問題に対処するためにテヘランとの協力を促進する重要な機会である。注目すべきは、ミハイル・ミシュスチン首相がロシア代表団を率い、モンゴルの首相もオブザーバーとして出席したことだ。

意見の相違における協力

SCOイスラマバード首脳会議では、加盟国間の連携と協力をさらに強化するための合意に達することを期待し、経済・貿易、環境、地域安全保障、文化・社会など多くの分野について議論することに焦点を当てた。開催国のシェバズ・シャリフ首相は開会演説で、SCOは「多国間主義の導き手」であり、「国民のためにより豊かで安全な未来を創造する可能性だけでなく、その意志も持っている」と確信していると述べた。

パキスタン首相は、貿易を促進し、相互につながったユーラシアのビジョンを実現するために、SCO内に枠組みを構築するよう求めた。彼はまた、地域全体の統合と協力を強化するために、BRI、CPEC、国際南北輸送回廊（INSTC）などの主要プロジェクトを拡大するよう求めた。しかし、SCO加盟国間で依然として意見の相違が残っており、中東の「ホットスポット」、インドとパキスタン間のカシミール紛争、地域の安全保障、世界的問題など、多くの緊急の課題で合意に達する上で課題と障害となっている。

SCO首脳会議は、政治的、安全保障上の不安が高まる時期にパキスタンが主催する長年ぶりの大規模な多国間イベントである。安全保障と経済の問題に直面しているにもかかわらず、今回のサミットはパキスタンにとって外交的立場を強化し、多国間フォーラムの積極的な参加者としてのイメージをアピールする機会となる。

同時に、サミットに合わせて行われた二国間行事は、パキスタンがロシア、中国、中央アジア諸国との経済協力を強化するのに役立った。

李強首相の出席は中国と中央アジア諸国とのより緊密な関係強化に役立ち、共通の地域問題における北京の役割を促進する。現在、中国はハマスとイスラエルの紛争やロシアとウクライナの紛争といった紛争の解決に積極的な役割を果たしている。

SCOにとって、国際的および地域的な環境が前例のない課題に直面している状況において、この経済・安全保障圏は、より実践的な協力の成果を上げ、加盟国が「上海精神」を継続的に推進し、結束を促進して地域の平和、安定、発展にさらに貢献する場となることが期待されます。