4000万ドルのベイジアン・スーパーヨットは8月にイタリアのシチリア島沖で沈没し、「英国のビル・ゲイツ」の異名を持つ英国のIT王マイク・リンチ氏を含む7人が死亡した。このヨットは、リンチ氏の妻アンジェラ・バカレス氏が所有するレブトム・リミテッド社が所有している。

CNNは9月22日、イタリアの検察当局が、このスーパーヨットには西側諸国の多くの諜報機関に関わる極秘データが含まれていると疑っていると情報筋の話として報じた。防水金庫に保管されているデータが関心を持つ外国政府の手に渡る恐れがあるとして、プロのダイバーらは沈没船の現場周辺の警備強化を求めている。

リンチ氏は、自身が設立したサイバーセキュリティ企業ダークトレースを含む、所有する複数の企業を通じて、英国、米国、その他の諜報機関とつながりがあると考えられている。

CNNによると、ダークトレースは4月にシカゴを拠点とするプライベートエクイティ会社トーマ・ブラボーに売却された。リンチ氏は、在任中、英国のデービッド・キャメロン首相とテリーザ・メイ首相の科学技術・サイバーセキュリティ顧問を務めた。

ヨットは現在、水深約50メートルの海底に沈んでいる。引き揚げ計画に携わった関係者によると、ヨットの中には、パスワードなどの機密情報やその他の機密データを保存した、高度に暗号化されたハードドライブ2台を備えた防水金庫があると考えられている。

捜査を支援しているシチリア島の民間防衛当局の関係者は、沈没船が引き上げられるまで周辺の警備を強化するよう当局が要請を受け入れたと述べた。したがって、スーパーヨットは水上と水中の両方で厳重に警備されることになります。

バカレス夫人とジェームズ・カットフィールド船長を含む14人が生き残った。カットフィールド氏と乗組員2人は船の沈没を引き起こした過失致死の疑いで捜査を受けている。

生存者の中には、マイク・リンチ氏はクラウド・ストレージ・サービスを信用しておらず、スーパーヨットで旅行するときは常にハードドライブをヨット内の金庫に保管していたと証言する者もいる。

地元の検察官アンブロジオ・カルトージオ氏は、リンチ氏の所有物であるコンピューター、宝石類、ハードドライブなど私物は船から回収されなかったと述べた。ダイバーたちは今週中に調査を完了し、油を流出させたり機密データを損失したりすることなく、473トンの残骸を引き揚げる計画を立てる予定だ。引き揚げ費用はスーパーヨットを所有する会社が負担することになる。

リンチ氏は6月、自身のソフトウェア会社オートノミーをコンピューター会社ヒューレット・パッカード（HP）に売却したことに関連した米国での詐欺事件で無罪判決を受けたばかりだ。この事件で、彼はHP社に同社を売却する前にオートノミー社の株価をつり上げたとして告発された。

また、ベイジアン号が沈没した8月19日の同日、リンチ氏のビジネスパートナーで米国の訴訟の共同被告であったダークトレースの元CFO、スティーブン・チェンバレン氏が、2日前の事故で病院で亡くなっていた。チェンバレンさんはジョギング中に車にひかれ、リンチさんは旅行を切り上げて英国に戻り、昏睡状態にあるパートナーを見舞う予定だった。