米下院が債務上限法案を可決、マッカーシー氏は失職の危機に

米議会は、ジャネット・イエレン財務長官が米国は国債を返済できないだろうと警告する6月5日までに初の債務不履行を阻止しようと時間との戦いを繰り広げている。

この法案は極右と極左の両方からの反発に直面したにもかかわらず、最終的には大差ではあったものの超党派の強い支持を得て下院を通過した。

最終的な投票結果は314対117で、共和党は賛成149票、反対71票、民主党は賛成165票、反対46票となった。

上院は今後、法案をジョー・バイデン大統領に送付する。「この合意はアメリカ国民とアメリカ経済にとって朗報です。上院には、この合意をできるだけ早く可決し、私が署名して法律として成立させるよう強く求めます」とバイデン大統領は採決後に述べた。

この法案は、連邦政府の債務上限を2025年1月1日まで一時的に撤廃する。また、今後2年間、政府支出の一部を制限し、一部のエネルギープロジェクトの認可を迅速化し、未使用の新型コロナウイルス感染症対策資金を回収し、食料支援を受ける人々に対する要件を拡大する。

マッカーシー氏は法案成立を勝ち取ったことで、下院共和党内の分裂への懸念を軽視し、バイデン氏との交渉で勝ち取った政策譲歩を祝った。

マッカーシー氏は党内の3分の2以上の支持を得たが、最終的には民主党が共和党を上回り、法案に賛成した。ブルームバーグの報道によると、保守派の批判派はこの問題をネタに、下院議長が不利な条件で法案を成立させたと主張するだろう。

したがって、マッカーシー氏にとって下院議長としての最も栄光に満ちた瞬間は、同時に最も困難な瞬間でもあった。

たとえトランプ氏がバイデン氏に譲歩を迫ることに成功したとしても、さらなる支出削減や社会福祉制度の制限を勝ち取れなかったとしてトランプ氏を下院で交代させるかどうかをすでに検討している右派議員たちの怒りに直面することになるだろう。

マッカーシー氏が直面している危険は、下院議長就任に際して彼が行った譲歩の結果であり、その中には、 議員であれば誰でも彼の罷免を請願できるという合意も含まれている。この合意により、マッカーシー氏はいつでもたった一票で罷免される可能性がある。

5月30日朝、ノースカロライナ州選出のダン・ビショップ下院議員は、マッカーシー氏の罷免を求める動議を提出することを検討していると述べた。しかし、ビショップ議員の意見は他の保守派議員の支持を得られなかった。

コロラド州選出のローレン・ボーバート下院議員は、合意の欠陥はマッカーシー氏の責任ではないと述べ、マッカーシー氏を擁護した。しかし、その日の終わりには、ビショップ氏はこの案を断念し、共和党議員団を去る際にこの件について議論することを拒否した。

グエン・トゥエット（ブルームバーグ、CNN、ロイター通信による）