ベンチェ省で「ベトナムの発展」の授業のためにフィールドワークをするフルブライトとダートマスの学生たち - 写真：DNCC

グローバル化の時代において、発展の機会は拡大していますが、国家のアイデンティティを維持するという課題もまた大きくなっています。若い世代にとって、未来を形作るには、現代的な知識だけでなく、ルーツ、歴史、伝統的な価値観に対する深い理解も必要です。

国民的アイデンティティに関する教育

深い統合の文脈において、国民のアイデンティティと性格に関する教育は、文化保存の基盤となるだけでなく、持続可能な開発の原動力でもあります。

フルブライト大学ベトナムでは、教育を通じてベトナムの発展と統合に貢献することを目標とし、国民文化の教育は、進歩的な知識を備え、国と世界に責任を持つ若い世代を育成するための中核を成しています。

その使命を遂行するために、同校のベトナム研究センターは、現代的なアプローチでベトナムの文化と歴史を研究し、教えるという戦略的かつ先駆的な役割を果たしています。

フルブライトスクールとコロンビア大学（米国）の共同によるデジタル人文学プロジェクトは、デジタル技術を通じてベトナムの豊かな文化遺産と世界的な学術資源へのアクセスと研究を変えることを目指しています - 写真：DNCC

グローバルな視点でルーツを理解する

同校のカリキュラムは、現代教育と文化的ルーツに関する教育を組み合わせ、生徒が国の文化を徹底的に理解できるよう支援するとともに、若者が包括的かつグローバルな視点で地域社会の課題の解決に貢献できるよう科学的知識を提供します。

アメリカの教養と科学技術の教育モデルを採用した国際的な環境で訓練を受けた学生は、あらゆる学術分野における最新かつ高度な知識にアクセスし、グローバルな思考を実践する機会を得ます。

異文化クラスでは、学際的なアプローチでベトナムの文化物語を教え、若者がさまざまな視点から歴史的現象や出来事にアプローチできるようにすることで、世界観と批判的思考を広げています。

フルブライト留学生が「発展の道を歩むベトナム」の授業でベトナムの歴史と文化を学ぶ - 写真：DNCC

たとえば、現代ベトナムの文化と社会という科目を通して、学生は社会文化的、政治的側面から地域的および世界的な文脈における国際関係まで、現代ベトナムについて学びます。

「講義を終えて一番印象に残ったのは、様々な角度から語られた歴史の話です。歴史について深く考え、祖国への深い思いを抱きました。優しくも、しかし強く、自然と愛国心が湧き上がってきました」と、ベトナム研究の元学生であるクアック・ミン・ファットさんはこのテーマについて語った。

若者たちは次第に海へ出て行く……

学校の若者たちは、現代的な方法に取り組み、地元の文化を深く理解し、「地球規模で考え、地域に行動する」という精神で、多くの意義深いプロジェクトを成功裏に実施し、地域社会に積極的に貢献しています。

2025年度生のLam Vu Anさんは、ベトナム初のデジタル人文学研究グループであるDigital Humanities Lab@Fulbrightグループを設立しました。ここでは、学生と学者が協力して人文科学のテクノロジーベースのプロジェクトに取り組み、教育と研究への革新的なアプローチを見つけます。

このグループの目立ったプロジェクトの一つは、視覚障害者コミュニティ向けの無料デジタル音楽ライブラリである「Braille Music Access」です。

トラン・ヴィエット・ホアン（フルブライト・スクールの卒業生）は、プログラミングに関する多くのプロジェクトを実施し、視覚障害者コミュニティを支援している - 写真：DNCC

視覚障がいを持つ元コンピュータサイエンス専攻の学生で、HNVision プロジェクトを通じて視覚障がい者がソフトウェアを通じて家電製品を使えるように支援するトラン・ヴィエット・ホアンさんが、テマセク・グループからコミュニティ・チェンジメーカー奨学金を優秀な成績で獲得しました。

フルブライトスクール在学中、ホアンさんは視覚障害者にプログラミングの授業を教えるプロジェクトを数多く実施しました。ベトナムを世界のテクノロジー地図に載せたいと願う盲目の男性の物語は、他の多くの若者に大きな刺激を与えました。

アイデンティティを未来に繋ぐ

ルーツ教育は、一人ひとりの内にある文化的価値観を未来につなげる旅です。フルブライト大学ベトナムは、現代教育と国民的文化的アイデンティティを組み合わせることで、国家に責任を持ち、世界的な知識の頂点を極めることができる若いベトナム人の世代の育成に貢献したいと考えています。