30年前に市場を揺るがしたIBMのラップトップ

シンプルな黒の長方形のデザインを持つIBM ThinkPad 701は、開封すると技術的な驚異を体現しました。「バタフライ」キーボードは、当時のモバイルコンピューティングの概念を一新した機械的な偉業と評されました。

写真：テックスポット

それから約30年、テクノロジーエディターのハリー・マクラッケン氏がFast Company誌に寄稿した記事のおかげで、IBMの革命的な象徴であるThinkPad 701を振り返ることができました。マクラッケン氏は、ThinkPad 701のインパクトを探求するだけでなく、その誕生を支えた野心、デザイン、そして技術的ニーズの組み合わせ、そしてなぜすぐに姿を消してしまったのかを分析しています。

ThinkPad 701の外観は、当時のデザイン基準を踏襲しており、マットブラックの「シガーボックス」形状をしています。多くの競合機種よりもコンパクトですが、それでも現代のウルトラブックを4台重ねた厚さとほぼ同じです。そのサイズの大部分は、ダイヤルアップモデムやPCMCIAスロットといっ​​た時代遅れの部品で占められています。

IBM ThinkPad 701の内部の印象

しかし、真の魔法は内部にあります。ディスプレイを開くと、ベース内部の複雑なメカニズムにより、トラックライトキーボードがノートパソコンの筐体の縁を超えて展開し、シームレスなフル幅のタイピング面が生まれます。これにより、コンパクトなノートパソコンでありながら、15インチ幅のキーボードを搭載しながらも、デスクトップパソコンと遜色ない快適な使い心地を実現しています。

バタフライキーボードの開発は、当時のラップトップ業界における長年の課題を解決しました。コンピューターの小型化は、キーボードが窮屈で扱いにくいという問題を引き起こしていました。ThinkPadのインダストリアルデザイナーであるリチャード・サッパーは、エンジニアのジョン・カリディスと共に、キーボードを2つの三角形に分割し、互いにスライドさせることで、複雑な設計を必要とせずにキーボードの幅を調整できるという解決策を見出しました。

写真：テックスポット

IBMはこのアイデアを現実のものにし、ThinkPadのクラシックな要素を継承しながらも新しいキーボードシステムを開発しました。数年の開発期間を経て、ThinkPad 701は1995年3月に1,499ドルから3,299ドルの価格で発売されました。この製品はたちまち批評家や顧客から高い評価を受け、その年のベストセラーラップトップとなり、27のデザイン賞を受賞しました。

バタフライキーボードは、 『ゴールデンアイ』や『ミッション:インポッシブル』といった有名映画にも登場し、先端技術の象徴となりました。しかし、ThinkPad 701の成功は長くは続きませんでした。

IBMは、ノートパソコンのデザインが急速に進化し、メーカーが拡張機構を必要とせずにフルサイズキーボードを搭載できるようになったため、1995年後半にこの製品を市場から撤退させました。バタフライキーボードは革新的なソリューションでしたが、信頼性や脆弱性といった欠点もありました。