ワウト・ヴェグホルストへの依存がオランダサッカーを徐々に衰退させている

オランダはEURO 2024のグループD初戦でポーランドに2-1の激戦を制し、初戦を飾った。ロナルド・クーマン監督率いるオランダは圧倒的な優位性を見せ、相手にプレッシャーをかけ続けた。しかし、序盤に失点を喫し、84分にワウト・ヴェグホルストのゴールで2-1の逆転勝利を収めた。

ナタン・アケのパスはポーランド人選手に軽く当たってからヴェグホルストの元へ。31歳のストライカーはシュチェスニーをかわして軽々とボールを蹴り込み、83分にオランダが2-1とリードを広げた。

ロナルド・クーマン監督の交代は効果を発揮し、ヴェグホルストはピッチに入ってわずか2分18秒でゴールを決め、オランダ代表の逆転に貢献した。これは、ワールドカップやEUROといった主要大会における交代選手による最速ゴール記録でもある。

メンフィス・デパイ、シャビ・シモンズ、コディ・ガクポといったスター選手を擁する攻撃陣を抱えるオランダ代表が、ワウト・ヴェグホルストの輝きに頼らなければならないとは、信じ難い。かつて「オレンジの嵐」と言えば、ファンはすぐにヨハン・クライフ、マルコ・ファン・バステン、パトリック・クライファート、ロビン・ファン・ペルシーといったワールドクラスのストライカーを擁する、総攻撃的なスタイルを思い浮かべたものだ。しかし、現在のオランダ人選手には、攻撃の重責を担い、リーダーになれるレベルに達している選手はいない。

ポーランドとの開幕戦を前に、オランダ代表は国内メディアやファンの疑念を抱きながらEURO 2024へと歩みを進めた。『Voetball』は、現在のオランダ代表は「過去20年間で最弱」と評し、攻撃陣を牽引できる実力のある選手が不在だったこと、そしてテウン・コープマイナースとフレンキー・デ・ヨングの不在により中盤が戦力不足に陥っていることを指摘した。

開幕戦で「オレンジの嵐」が「白い鷲」に無力であることを露呈した時、その懸念は現実のものとなった。ポーランド相手にピッチを攻め続けたにもかかわらず、デパイ、シャビ、ガクポは幾度となくチャンスを逸した。統計によると、オランダ代表はゴールキーパーのヴォイチェフ・シュチェスニーに向かって21本のシュートを放った。これは2012年以降の主要大会（ワールドカップ/EURO）における最多記録である。しかし、ヴェグホルストのゴールはオランダ代表にとってわずか4本目の枠内シュートに過ぎなかった。

ワウト・ヴェグホルストは再びヒーローとなり、オランダの苦境を救った。2022年ワールドカップ準々決勝では、197cmの長身ストライカーが2ゴールを挙げ、オランダの逆転劇を支え、アルゼンチンを延長戦に持ち込んだ。しかし、オランダはPK戦でアルビセレステに敗れた。

マンチェスター・ユナイテッドでの不振の後、ヴェグホルストは出場機会を求めてバーンリー、ホッフェンハイム、ベシクタシュといったチームにレンタル移籍した。クラブレベルでは好成績を残せていないものの、1992年生まれのこのストライカーは代表チームでその実力を発揮している。統計によると、ヴェグホルストはカナダ、アイスランド、ポーランド戦でわずか3本のシュートを放ち、3ゴールを記録している。

ポーランド戦での勝利は、EURO2024への出場権獲得を目指すオランダにとって明るい兆しと言えるだろう。しかし、クーマン監督率いるオランダが勝利を掴んだのは、ワウト・ヴェグホルストの活躍によるところが大きい。これは、長年に渡り徹底的な攻撃スタイルを展開してきたオランダサッカーの衰退を反映していると言えるだろう。